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AOMORIトリエンナーレの挑戦

 棟方志功をはじめとした重要な版画家を多く輩出し、古くから版画文化を育んできた青森市。その青森市からさらに新しい芸術が芽生えることを願うと同時に、市民が優れた作品に触れる機会の創出を目指してきた「AOMORI PRINTトリエンナーレ2014」を発展的に成長させ、「AOMORIトリエンナーレ2017」を開催する運びとなりました。
 AOMORIトリエンナーレ2017は、「PRINT」を時代に即した共通テーマと再解釈し、「PRINT」に従来の版画という意味はもちろんのこと、「印刷、出版、活字、新聞、写真、痕跡、名残、影響」など奥行きのある様々な意味を含んだ上で、GNRに代表される遺伝子の複製という大きなテーマとしても捉えなおそうと試みます。
 そこで、AOMORI トリエンナーレ2017では従来の「版画」領域を踏まえた [Classical]部門と、前述の遺伝子を含むバイオ領域などで挑戦的な作品を生み出す作家を指名する[Unlimited]部門の2つの軸で再構成いたします。この部門を創設する事によって、将来的に青森市に先端的な研究機関や企業の誘致を行う機運を醸成する事と、青森の持つ地域性を十分に活かし、夏季に集中する芸術祭ではなく、敢えて冬のアートと温泉や食を始めとする豊かな自然を楽しんでいただけるよう果敢な挑戦を行う契機とします。
 すでに百花繚乱の様相を呈しています全国各地で開催される芸術祭のなかで、なぜまたトリエンナーレなの?という疑問は当然の事と思いますし、そのなかである種の質の低下を憂慮する関係者の声があることも誰もが知る所です。昨日もフランス人のキュレーターとの食事の席で「なぜ日本にはこんなにたくさん芸術祭があるの?」と聞かれました。私も瀬戸内国際芸術祭で小豆島のエリアディレクターをするまでは、アート関係者として同じような思いを持っていたのです。
 しかし小豆島町の塩田町長や町のみなさんと交流が深まるにつれて、地方都市が抱える深刻な少子高齢化の問題に向き合わざるを得なくなりました。トランプ大統領がヒルビリーと呼ばれる貧しい白人労働者たちの支持で大統領になった事が、NYやブルーステートに住むほとんどの住人に理解の及ばない事だったように、アートというある種の特別な場所にいて思考する我々には全く見えなかった日本がそこにありました。
 そして私はこう考えるようになりました「欧米で始まったビエンナーレが、津々浦々に存在するお祭りの新しい形として国風化したのでは・・・・・・」と、そう考えると小さな町が手作りで始める芸術祭の総てがいとおしくなって来たのです。欧米目線で質を語っていた自分がなんと傲慢であったのかと深い反省をすると同時に、欧米の有名アーティストの作品を山野に並べてスタンプラリーのような状況の蔓延に喜んでもいられなくなったのです。
 今回私がディレクターをお引き受けしたのも、私の大学の教育プログラムに「ねぶた」の技法を導入させていただいた10年に及ぶ交流のなかで地元の方々の懇請によってお受けしたという経緯があります。当初は極地の作家を集め、敢えて過酷な環境の冬に開催しようと言う集客度外視の過激な提案もさせていただいたにも関わらず、多くの情熱的な人々が背中を押してくださる事になりました。
 初回は地元経済界や市の方々、また大学生や美術館関係者の方々の手弁当的な情熱で地に足つけてスタートをします。クラシカルの公募展とアンリミテッドのカットエッジな表現に加え、青森市の路地裏すべてを徹底リサーチしたブックレットを作成中のデザイナー酒井洋輔氏の仕事にもぜひご注目をいただきたいと思います。いままで誰も気づかなかった地域の魅力(魔力)が、そこかしこに充満する事は間違いありません。
 折しも温暖化の影響で最高の樹氷は蔵王ではなく八甲田で見る事が出来るとのことです。台湾やオーストラリアなど冬に憧れる国々からのお客様もウインタースポーツとアートの出逢いに期待を膨らませていただいております。2018年の1月から3月、青森の温泉と海鮮、そして分厚い文化と新しいアートの出逢いをご堪能いただければと思います。
AOMORIトリエンナーレ2017・アーティスティックディレクター
椿 昇(現代美術家)